読者のみなさんへ(『恋におちた悪魔 世界の終わりの魔法使いII』より)
『世界の終わりの魔法使い』の舞台となっていたのは、あらゆるものがうつろで、時間すらも流れず、過去も未来もない「時のない世界」でした。じぶんがどこから来てどこへ行くのかわからない、嘘も本当も知りようのない、そんな曖昧な日々を、登場人物たちはそれでも楽しく暮らしていました。
「まさか」と僕自身も思うのですが、続編ができました。その続編といいながら、実は前作の続きではありません。時間を1000年ほどさかのぼり、サン・フェアリー・アンとムギとの出会いを描いたのが、この「せかまほ2」こと『世界の終わりの魔法使いII 恋におちた悪魔』です。
歴史が存在せず、いまそこにある「現在」しかなかった前作では、過去にあったことも未来に起こることも、セリフの中でわずかに語られるだけでした。こうして一冊を描き終えた今思うのですが、読者のみなさんや物語の登場人物たち、その誰よりも実は作者である僕自身が、それ以前・以後のアンやムギやシッポ猫のことを知りたくなったのかもしれません。
「プー」って何? ベロチューの意味は? バカの子の正体は? なんでムギのこと好きなの? 魔法大戦って……?
というわけで本作の執筆は、「時のない世界」に「時」を与える作業になりました。歴史のない世界に歴史を作ること。そんなこと、アンに言わせればそれこそ、「わたしの過去? どうでもいいさ(“Ca ne fait rien”)」なのかもしれませんけど。
物語はを軸として、「時のない世界」から過去と未来それぞれに別れて進んでいきます。より先へ、より遠くへ……。
西島大介
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